今、全国で実施されている高校野球の代替大会の中には、いざ始まってみると「想い出づくり」ではなく、かなりの真剣勝負になっている大会もあるようだ。

フルカウント
「うちには関係ねえぞ。お前らは悲劇のヒーローじゃねえからな。うちは最後まで、いつもと変わらず優勝を狙いに行く」
東海大菅生若林監督は、主力選手である2年生主体で試合をして、3年生の中には試合に出られなかった選手もいるという。
こういうチームは少数派だろうが、勝利至上主義に凝り固まって、状況が変わったことが理解できないのだろう。選手は納得していたと書いていたが、泣きそうになった3年生もいたことだろう。

かと思えば大阪大会では

三原9-3で八尾がコールド勝ち目前だった7回裏、登録外の選手が代打出場したことが判明。四球で出塁したものの、公式記録の担当スタッフがメンバー表に当該選手の名前がないことに気づいた。大会本部が確認して没収試合となり、規定により美原が9-0で勝った。

30人まで登録できる特別ルールで毎回20人が入れ替え可能だったが、監督が入れ替えを怠ったという。八百高の長田監督はグラウンドに膝をついて謝っていた。

代替大会は「公式戦」ということになっている。だからこうした厳密さが求められるのだ。

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しかし今回の大会が「3年生に最後の野球をやらせてやりたい」という「想い出づくり」だったはずが、だんだんに「甲子園に行かないだけの真剣勝負」になっているように思う。
真剣みがあるほうがリアルでいいのかもしれないが、何のためにわざわざ試合をしているのかが、わからなくなっている。

本来、日本高野連なり朝日新聞なりがガイドラインを示すべきだったが、やるかやらないかも含めて地方に丸投げしたために、いろいろな混乱が起こっているのだ。
新型コロナ禍では、政府が地方に政策を丸投げしたために、混乱が起こっているが、代替大会も似たような状況だ。要するに責任を取っていないのだ。

こういう混乱の中で、ぽつぽつと野球から離れていく人が増えるのだと思う。私は取材を続けているが、今夏の混乱を「感動話」にしてはならない。


2007~2019の打者 vs 2020年の打者/10試合終了時打率比較・セ・リーグ

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