巨人のコーチ就任後の桑田真澄がテレビに出演してこう言った
「個人的に(先発投手は)中6日、7日の時代ですから、なぜ完投しないのかが僕はよく分からない」

11月のサンデーモーニングでは
「休む期間が長いので僕はできるだけ先発投手は完投するべきだと思ってまして。自分がマウンドに立ったら135球は投げるんだという気持ちを持って投げていってもらいたい」

桑田真澄は高校生以下の球数制限の強力な推進者だ。12月19日、神戸であった整形外科学会でも「7日間500球」を痛烈に批判していたし、球数制限が進まないことにいら立ちを見せていた。

しかしプロ野球は「中6日なら完投135球」と言っている。この見解はどこからくるのか、本人に聞けていないが、推測するに

1.高校生までは成長途上であり、球数制限する必要がある
2.プロ野球選手は体ができているから球数制限は必要ない
3.MLBは中4日で100球を投げている。NPBは中6日なのだから135球は投げるべき

仮に開幕投手が143試合制で中6日で投げれば、登板数は21になる。9回を投げれば189回、135球ずつ投げれば2835球。NPBではシーズン最多投球数は3000球前後になるので、取り立てて多すぎる球数ではない。
MLBの162試合制で中4日で投げれば登板数は33、6回を投げれば198回、100球ずつ投げれば3300球になる。MLBではシーズン最多投球が3300球前後なので、これも許容範囲内だ。事実エース級はこういうパターンで投げているのだ。

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この数字を見る限りは、桑田真澄の考えは妥当なように見える。
しかし、アメリカではPAP(Pitch Abuse Point)という指標が重視される。PAPとは先発投手が100球を超えて投げた際に付くポイントで、(投球数-100)の3乗という数字だ。この数字のシーズン合計が10万を超えると黄信号、20万を超えるといつ故障してもおかしくないとされる。

MLBで中4日、100球ずつ投げる投手は、198回 3300球でPAPは0
NPBで中6日、135球ずつ投げる投手は、189回 2835球でPAPは90万375 になる。

NPBの先発投手のシーズンPAPは最大で40万前後だからこれを大きく上回る。PAP90万は昭和の時代の数字だ。MLBの基準でいえば、まっ赤である。

桑田真澄の提案の最大の焦点はPAPの問題をどう考えるのか、ということになる。


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