村上宗隆の56本を「日本人選手最高」「王貞治を抜いた」という報道に関しては、常に異議申し立てをすべきだと思う。私はメディアに書くときには「日本出身選手では55本塁打以上は2人目」と言う表現をしてきたが、ウラディミール・バレンティンの存在を忘れてはいけないと思う。
NPBの最多本塁打記録を改めて確認しておこう。50本以上。

NPB-HR


村上は史上２位の記録だ。「日本人選手では」というと、王は大陸ルーツの台湾籍だから、５３本目を打った時点で野村克也、落合博満を抜いて１位になっている。国籍だの人種だのと言うのはくだらないと思う。記録としてみたときには、やはりバレンティンがその上にいるのは間違いない。

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村上には当面60本が目標になるが、毎年コンスタントに50本を打った打者は王貞治以外にはNPBにはいない。バレンティンは60本を打った2013年以外は40本さえ打ったことがない。
投手のマークも厳しくなるだろうし、今年がキャリアハイになる可能性さえあるだろう。

MLBでシーズン50本以上を打ったのは47人いる。

MLB-HR


NPBのバレンティンのHR/ABは、NPBでは断トツの0.137だったが、MLBのボンズは0.153、ボンズは2001年以外は50本を打った年はない。ドーピングのえげつなさを感じる。

続くマグワイア、ソーサも薬物使用を認めている。このあたりの記録が上位に並ぶのは本当に悩ましいところだ。

そういう意味で今年のジャッジの61本はロジャー・マリスと並び「オーガニック」では最多と言うこともできる。あと4試合でどこまで積み上げられるか。

KBOも紹介しておく。

KBO-HR


KBOは5人（ご指摘あり修正）。2003年李承燁が56本を記録した時は、韓国は「王貞治を抜いた」と大騒ぎだったが、日本では全く騒がれなかった。日本から見てKBOは「マイナーリーグ」であり「レベルが違う」とみなされていたからだ。この点、NPBとMLBの関係に似ている。

今年村上が本塁打を連発して、韓国の野球ファンはスンヨプの「アジア記録」が抜かれるのではないかと心配したが「タイ記録」で収まったわけだ。日本ではこれまたほとんど報道されていない。

このあたり、どの国も「贔屓の引き倒し」をしてしまうということだ。


NOWAR


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